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犬夜叉(いぬやしゃ)は、高橋留美子原作の漫画およびアニメ犬夜叉』の主人公であり、アニメオリジナルの続編『半妖の夜叉姫』の登場人物である。

作品タイトルとしての『犬夜叉』については「犬夜叉 (シリーズ)」を参照。

概要[]

大妖怪の父である犬の大将と、人間の母である十六夜[4]との間に生まれた半妖の少年。年齢は人間換算で15歳[5]。口調はきつく暴れん坊な反面、根は優しい。半分は化け犬なので犬耳[6]を持ち、犬らしい仕草もするが、犬扱いされると怒る。鼻がよく利き、地面のにおいを嗅いで人や物を探すことが得意。においの強いものは苦手[7]

巫女の術によって言霊の念珠を首に掛けられており[8]日暮かごめの「おすわり」の一言で地面に叩きつけられる。そのため、かごめがその場にいる限りむやみに暴れ回ることはできない。かごめのことを最初は嫌っていたのだが、彼女の優しさやたくましさに次第に惹かれていく。かごめが危険にさらされると、彼女を無我夢中で守るため普段以上に素早くなる。

旅の途中で自分以外の半妖(例としては地念児紫織など)に出会うと、自身の境遇と重ねて何かしら気にするような態度を見せる。かごめと同様に骨喰いの井戸を通り抜けることができる数少ない人物でもあり、戦国時代現代を自由に行き来できる。

作中での動向[]

過去[]

幼少期は没落系貴族出身の母に守られながら屋敷で過ごし、半妖という出自ゆえ周囲の人間たちから疎まれ、除け者にされていた。人間ゆえ寿命が短かった母の死後は孤独な日々が続き、大妖怪の血を引いてはいるが幼年時は非力で、妖怪に遭遇しても敵わず逃げ惑っていた。

このような過酷な境遇から次第に荒れ始め、強くなるべくやがて妖怪たちとの戦いに明け暮れるようになる。それでも作中の悪役たちがよく使う人質を取るなどの汚いやり方は好まなかったようで、正面から敵を倒すという武人的な考え方を持っていた。

桔梗との悲恋[]

やがて四魂の玉を守る巫女・桔梗と出会って恋仲になり、彼女とともに生きるため四魂の玉を使って人間になることを約束する。当時の二人はお互いに生きづらさを抱える者同士、シンパシーのようなものを感じ合っており、特に犬夜叉は桔梗のさみしそうな顔を見て「生まれて初めて悪いことをしたような気分になった」とも独白していた。

だが四魂の玉を狙う邪妖・奈落の策略により二人の仲は引き裂かれ、憎しみ合わされた末に、犬夜叉は桔梗の封印の矢によって御神木に磔にされて封印されることとなる。桔梗も奈落から受けた傷で命を落とし、四魂の玉も一度はこの世から消滅したはずであった。

かごめとの出会い[]

封印から50年後。戦国時代から500年後の世界にあたる現代から骨喰いの井戸を通ってやってきた、桔梗の生まれ変わりである日暮かごめによって封印を解かれ、犬夜叉は自由の身となる。同時に四魂の玉が再びこの世に現れ、それが無数のかけらとなって四散したため、かけらを集めて元に戻す目的でかごめと行動をともにするようになる。

当初は容姿が桔梗に似ていた彼女のことを毛嫌いしていたが、行動をともにするうちに次第に心を開いていき、やがて恋心を抱く。のちに桔梗が蘇ってからは彼女とかごめの二人の女性の間で揺れ動く、いわばどっちつかずの状態となり、そのたびにかごめの心を傷つけていた。

当初、かごめから話を聞いた現代の友人ら(由加、絵里、あゆみ)からは「二股かけてて、焼きもち焼きで、暴力を振るう最低な男(二股暴力男)」と言われていたが、やがて彼女らからも付き合いを認められる。長い時間をかけて桔梗への想いを吹っ切ったのち、ようやくかごめと相思相愛となる。

半妖として[]

犬夜叉は半妖という出自のために妖怪からも人間からも疎外され、当初は四魂の玉を使って完全な妖怪になることを強く望んでいた。作中だけでも、多数の敵キャラたちから「半妖野郎」「薄汚い半妖」「半妖の分際で」「半妖は半人前」などと差別的な暴言を多数浴びせかけられ、そのたびに怒りを覚えていた。

一方で、父から受け継いだ妖怪の血が非常に強力なため、命の危機にさらされる(もしくは強い邪気を浴びる)と妖怪の血が体を支配し、妖怪へと変化(へんげ)する。その姿は、頬に爪痕のような紫のアザが現れ、目は赤く染まり、より鋭利に尖った爪を持つ恐ろしげなものとなる[9]

特に妖気は凄まじく、殺生丸でさえ最初に犬夜叉の変化を目の当たりにした際には一瞬だが怖れを感じたと独白している。変化すると理性を失い、自分以外の生命をおよそ無差別に破壊し始める。恐怖や痛みをまったく感じなくなり、最初の犠牲者となった悟心鬼いわく「敵(他者)を切り裂く喜び」のみに感情を支配された状態となる。その身が滅ぶまで暴走は止まらない。何度も変化を繰り返すと妖怪の血に完全に心を喰われ、最終的には心を失う。また、本人は変化している間の出来事を覚えていない。ただし、終盤は妖怪化した姿でも理性を保つことができるようになっている。

半妖である犬夜叉は月に一度、朔の日の夜に妖力が失われて人間になる。爪と牙は人間と同じものになり、銀色の髪も黒く染まり、鼻が利かなくなる。さらには装備である鉄砕牙も変化しなくなり、火鼠の衣も妖力が消えてただの着物となる。朔の日の彼は昼は妖気のない半妖であり、日没とともに人間になり、日の出とともに妖力が甦って半妖へと戻る。

半妖にとってその日を敵に知られることは命取りとなる[10]ため、絶対に他人に教えることはない。犬夜叉もずっとひた隠しにしてきた[11]が、かごめをはじめとする彼の仲間たち(犬夜叉一行)は旅の中で知ることになる。敵対者では殺生丸は以前から知っていたようだが、のちに鋼牙一行や、神楽、さらには魍魎丸にまで知られていく。

これらの理由により完全な妖怪になることを望んだ犬夜叉であったが、相手が悪人とはいえ人間である野盗たちを変化時に手に掛けて皆殺しにしてしまって以降は、自分が欲しかった強さはこのようなものではなかったとしてその望みを捨てている。また、アニメオリジナルエピソードでは同じ半妖である牛王に「半妖の姿が憎くはないのか」と尋ねられた際、「半妖でも俺は俺だ。強ければなんだっていい」と、自身が半妖であることを受け入れる姿勢を見せている。

奈落との戦い[]

能力[]

普段からまとっている赤い衣と袴は火鼠の毛を織ったもの(火鼠の衣)であり、その妖力により火や毒を防ぐ強力な鎧となる。また、犬夜叉自身が生まれつき非常に頑健な肉体をしているため、普通の人間であれば首が吹っ飛ぶほどの圧力にも耐えることができる。さらには生命力も相当なもので、腹に穴が空いても何とか戦える。腹の穴ほどの傷でも3日もあれば治る。

父親の血ゆえか、馬力においても並の妖怪をはるかに凌いでいる。父が遺した妖刀・鉄砕牙を主な武器とするほか、犬型の半妖ならではの武器である爪を用いた技を使う。妖怪化した場合、すべての能力が飛躍的に強化され、変化前に受けた重傷も瞬時に治癒する。爪での攻撃力は、風の傷すら効かない鋼の皮膚を持つ竜骨精が傷つくほどの威力になる。

装備[]

武器である鉄砕牙と防具である火鼠の衣は、どちらも犬夜叉の両親と関係の深いアイテムである。

鉄砕牙(てっさいが)
父から受け継いだ化け犬の牙の妖刀。詳細は「鉄砕牙」を参照。
火鼠の衣(ひねずみのころも)
犬夜叉が普段から身にまとっている赤い衣で、母・十六夜の形見。人間の鎧よりもはるかに頑丈で、人間なら致命傷になりかねない物理攻撃や火炎攻撃を防げる。詳細は「火鼠の衣」を参照。
言霊の念珠(ことだまのねんじゅ)
復活した犬夜叉を鎮めるために楓が犬夜叉の首につけた数珠。かごめが魂鎮めの言霊である「おすわり」を言うと数珠に込められた霊力が発動し、犬夜叉を下へと引っ張り地面に思いきり叩きつける。詳細は「言霊の念珠」を参照。

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当初の使用技は主に爪を使う散魂鉄爪と飛刃血爪のみであったが、鉄砕牙を手にしてからは多くの技を習得する。

散魂鉄爪(さんこんてっそう)
敵陣に突進しながら鋭い爪で切り裂いて攻撃する。現代においても鉄骨を突き破るほどの威力がある。攻撃範囲は広く、敵の大きさにかかわらず一蹴できる。アニメでは衝撃波が発生する場合もあり、最初にかごめを襲った際にはおよそ数十メートルにわたって地面をえぐったこともあった。
飛刃血爪(ひじんけっそう)
敵の攻撃などで出血した際、爪に血と妖力を込めて硬化させ、刃として飛ばして攻撃する。犬夜叉の流血に油断した敵の隙をつく奇襲技でもある。動きの速い敵や遠距離攻撃を得意とする敵に対して効果を発揮する。
ぶん殴り(ぶんなぐり)
拳で相手を殴る。殺さず手加減する必要のある相手などに使うほか、平時に七宝が余計な一言を発した際などにもしばしばぶん殴っている。
風の傷(かぜのきず)
鉄砕牙を使い、「風の傷」と呼ばれる妖気と妖気のぶつかり合いで生まれる風の裂け目を斬り裂くことによって、強烈かつ広範囲の衝撃波を放って敵を斬り倒す技。この他にも爆流破(ばくりゅうは)や金剛槍破(こんごうそうは)など、鉄砕牙を用いた技を作中で数多く身につけていく。詳細は「鉄砕牙#能力」を参照。

他の登場人物との関係[]

かごめ[]

七宝[]

弥勒[]

珊瑚[]

冥加[]

刀々斎[]

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かごめの家族[]

桔梗[]

殺生丸[]

鋼牙[]

神楽[]

奈落[]

『半妖の夜叉姫』では[]

もろはの実父。殺生丸の異母弟で、とわせつなの叔父。

娘のもろはとは、彼女が赤ん坊の頃に半妖を忌み嫌って始末しようと目論んだ麒麟丸とそれに同行した殺生丸に追いつめられた際に逃がす形で生き別れ、自身は殺生丸の意図で妻のかごめとともに黒真珠に吸収された。現在はかごめとともにあの世とこの世の境にいる。もろはが産霊山結界内部の空間に迷い込んだ際、ほんの数秒かつ遠目ではあるが、成長した娘の姿を目の当たりにした。

余談[]

  • 原作者である高橋留美子は「犬夜叉役には山口勝平さんしかいない」と製作サイドに交渉し、前作『らんま1/2』の主人公・早乙女乱馬役も演じた山口を推薦した。犬夜叉役のオーディションには、劇場版『時代を越える想い』で瑪瑙丸役を演じた関智一もいた。なお、山口はオーディションにおいて悪役である奈落役も受けていた。

関連画像[]

脚注[]

  1. 図説大全 奥義皆伝』 p.25
  2. 完結時点および『半妖の夜叉姫』。
  3. 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5 3.6 『半妖の夜叉姫』のみ。
  4. 母の名前はアニメ版のみの設定で、原作では本名不明となっている。
  5. 映画『天下覇道の剣』では、犬夜叉の父は物語の約200年前に亡くなり、ちょうど同じ時期に犬夜叉が生まれていることを考えると、彼の実年齢は約200歳で、封印されていた50年を差し引いて約150歳となる。
  6. 作者によれば、触れた時の感触は餃子の皮5枚分(『図説大全 奥義皆伝』 p.27)。
  7. 鼻は普段は湿っており、風邪をひくと乾く。
  8. 本人の意思で外すことはできない。
  9. この姿は父親譲りで、犬妖怪独特のものである。殺生丸も本性を現す際、一時的にこれと酷似した姿になる。
  10. 戦闘力のみならず生命力や身体能力も人間並みになる。
  11. 昔から仕えていた冥加でさえ知らなかったと発言している。

外部リンク[]

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